
思い出がひとつ消えるとき
9/15。
夏休みのスタートは、東京からだいぶ離れた山奥へ。20年来の付き合いのある元キャンプ場があって、バイク時代からずっと毎年のように訪れていますが、今回の訪問は1年以上ぶり。オーナーのガオさん(仮)と久々の再会を果たしました。
「元」キャンプ場というのは訳があります。2年前に突然キャンプ場が閉鎖になるとアナウンスがありました。聞けば、土地を貸してくれていた地主さんが高齢で亡くなり、相続人からすぐ更地にして返すように言われたとのこと。
ガオさんはそれまで地元の皆さんとも良好な関係を築いており、集落の観光資源の維持管理にも熱心に携わっていました。また、このキャンプ場は口コミで賑わっており、シーズン中は地元の商店や温泉街などへの経済効果もそれなりにあったと思います。
しかし、今回土地の返却を求めているのは遠方の都市で暮らしている相続人だったため、ガオさんの地元への貢献が考慮されなかったのは残念です。ガオさんにしてみれば20年かけて手作りで整備してきた炊事場やバンガロー等の設備を、突然すべて壊すようにと言われたわけですから、どれだけ無念だったか分かりません。ですが彼は争うことはせず、文句も言わずに黙って廃業を受け入れたのでした。
そんなこんなで去年がキャンプ場最後の年だったわけですが、それまで明るくて懐が広くて病気知らずだったガオさんが、徐々に体調を崩しました。そして病院に担ぎ込まれた頃には重い病気で死ぬ寸前だった事が判明し、即入院→大手術となったのです。(それがたまたま私の病気発覚とほぼ同時期でした)
お互いそんなこんなで一年以上会えなかったので、今回は感動の再会だったわけです。
聞けばガオさんは大手術のあとにメキメキと回復して病院側を驚かせ、退院してから数カ月後にはキャンプ場の後片付けに入っていたらしい。すごい。元気すぎる。
相変わらずおやじギャグも健在でした。
「いやー手術前の名前確認で本名言わなかった患者、たぶん俺が初めてじゃないかな」
「えっ、なんて名乗ったんですか?」
「手術台に寝そべって麻酔される前にお名前は?って聞かれたからジョージ・クルーニーですって答えたんだよね」
ぎゃはははは!全然似てねーし!死にかかってる時にそんなふざけてていいの!?(そんなオジサンだから、病棟では看護師さん達に大人気だったらしいw)
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すでにキャンプ場は閉鎖されているのですが、まだまだ施設の解体作業が残っています。今は一部の常連さんが週末にボランティアでやってきて、建物を少しずつ壊して、廃材を燃やしたりしている所でした。
更地にするにはまだまだ時間かかりそうだけど、このままいくと来年あたりには本当に更地になってるかもなあ。。。
私にとって一連の出来事はやけにリアルで、まだまだ夢だとか象徴だとかいう実感をもつのは難しいです(20年来の想い出が凝縮してる場所だけに)。
ただ、2年前にキャンプ場が閉鎖になると聞いた時、自分の中で何かが終わったように感じたのは覚えています。私がそう思ったくらいだから、ガオさんにとっては人生終わるくらいの衝撃だったとしても不思議ではないかも。
キャンプ場の解体は手作業なので、来年もまだ続くでしょう。何の力にもなれないけど、このことも自分の心の風景のひとつとして、今後も見つめていきたいと思います。
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