買い叩き案件を断るまで(3)
(つづき)
ハイドさんとロクザさんに大人の交渉術を教えてもらって一歩前進しましたが、それでもやっぱり憂鬱だったのがオヤブンさんからなし崩し的に依頼されたWeb案件(x2)のことでした。。。オヤブンさんはさすがに金額の話を先にするような無粋なことはありませんでしたが、かといって正規価格を提示しにくい圧力も感じまして。。。
これって会社だったら、社長サマから直々に「トベくん、ついでにこの徹夜仕事も頼むよ。この私が直々に頭を下げてるんだから。。。分かるよね?」と言われてるような気分です。(あくまで私の感じ方の問題であり、オヤブンさんとは関係ございません。悪しからず!)
もう断っちゃいなさいよ!
というわけで、オヤブンさんの件を相談したのはもちろんスマート室長。いちおうオヤブンさんは室長の師匠でもあるのでなかなか言いにくかったのですけど、憂鬱な気分MAXだったので正直に打ち明けました。
「かくかくしかじかで、オヤブンさんにWeb制作を頼まれて。。。なんで私?と思ったら、激安専門のカントクさんの推薦だって仰るんですよ。なので私もちゃんとした金額を言いづらくて、正直やりたくないんです。。。」
「まあ、そんな事になってたの!確かに、オヤブンさんもビジネスだから、安く頼めそうだと思ったところに声をかけるわよね。でも、やりたくないならオヤブンさんに遠慮せず、もう断っちゃいなさいよ。私もいろいろ頼まれてるけど、断ってるわよ」
「えっ、ホントですか?私も、断ってもいいですかね!?」
「大丈夫よ、オヤブンさんならちゃんと話せば分かってくれるわよ!」
室長の励ましで元気が出た私は、その日のうちにオヤブンさんにWeb制作を辞退したい旨をかなり正直にしたためた長めのメッセージを送りました。返事はなかったけど、既読がついてたので読んでは貰えたのでしょう。あーあ、怒ってるかな。。。
その数日後に、オヤブンさんと打合せがありました。
こっちは開口一番、「本当に申し訳ありません」と平謝りです。するとオヤブンさんは「まあまあ、分かりました。そういう事なら他の人に頼むから大丈夫です」とホトケ顔で言ってくれたので、ほっとしました。。。
こういうケース、下手に断ると人間関係にヒビが入る恐れもあったので危なかったけど、私がどうしてやりたくないかの理由を正直ベースでお伝えしたことで、向こうも分かってくれたみたいです。でも本当は、依頼を持ちかけられたらその場でお断りすべき話だったんですよね。その判断が瞬時にできないと、相手にも迷惑をかけてしまうというのを痛感しました。この先、もしまたWeb案件が来たら基本全部お断りにして、よほどの事情がある場合でも「持ち帰らせてください→MAX金額提示」だなぁ。
いずれにしても、オヤブンさんのWeb案件を辞退できたことで、かなり気がラクになりました。
あと残るは、カントクさんの4ヶ月案件だな。。。
俺のポケットマネー
カントクさんについては、最後の4ヶ月案件だけを頑張って、それ以降のWeb案件は全部お断りしよう!と思っていたある日、以前からプチ炎上してたほうの別案件でちょっとカントクさんと揉める事態になりました。
私はその顧客に会ったことがないので何があったか知りませんが、なぜか顧客がカントクさんに激怒していて、どんなにデザインを修正しても全部気に入らないといって突き返されるのです。そんなエンドレス修正のさなか、カントクさんが「トベさん、やっぱりスマホ対応して」とちゃぶ台返しをしてきたので、「でも最初にPC版だけでいいって言ったじゃないですか。他のクリエイターさんは、皆この金額でスマホ対応されてるんですか」と私も反論。
するとカントクさん「確かにPC版でいいって言ったけど、いまどきスマホ対応するのは当然でしょう!」と来た。もちろんスマホ時代なのは承知してますけどね、それを5人日程度の金額で2ヶ月以上かけてやる奴いんのか?って聞いてるんですよ。。。
そしたらカントクさんも言い返せなくて、こんな話をはじめました。いやいや、たしかに他の実績ある人にはもっと高く出してますよ。でも、トベさんは実績ないからお試し価格でやってもらってると最初に言ったよね。これは、もしトベさんが任務を完遂できなくて仕事を落とした場合でも「俺のポケットマネーで払える金額」にさせて貰ってるからこうなっただけ。他に信頼できるクリエイターさんはいっぱいいるから、万一のことがあれば、自分がリスクを負って、実績ある人に依頼し直すつもりだったんだよ。でも、トベさんも実績ができれば少しずつギャラを上げるつもりだった、などなど。。。
なーるほど、俺のポケットマネーで私を育ててくれるつもりだったと言うわけですか。まあいいでしょう。ありがとうございます。(でも本当にお試しだと言うなら1案件でよくない?なんで2案件も同時進行でお試し価格にしたんでしょうねえ。。。)
好機到来!いましかねえーー!
要するに「トベは実績ゼロで信用できないから激安で当然」という事を延々と言われて、まあまあ落ち込んだところで一旦電話を切りまして。食欲もないけど、台所でうどん作って遅ランチを食べていたところ。。。
なぜか突然!
どうすればいいか一瞬で全部分かってしまったんです。Σ(゚Д゚)
いまなら、私を含めて全員がハッピーになれる方法があるやんけ!と。
カントクさんにどういう順番で切り出せばいいか、どういうロジックで話せばいいか、いつその話を伝えるべきか、全部分かってしまった。。。。そう、やるなら今しかない!むしろ、今日という好機を逃したら次はだいぶ先になる。。。いそげ!私!
うまくいく保証ははないので心臓バクバクもんでしたが、とにかくそのアイデアに従って、カントクさんにもう一回電話をかけてみました。こんな感じ:
「あの!カントクさん!さっき本当のこと話してくれて有り難うございました!私、すごい勘違いしてて申し訳ありませんでした。カントクさんは自腹切ってまで私を育ててくれようとしてたのに、私は全然気づいてませんでした。それなのに、勝手なことばかり言ってしまって、本当にごめんなさい!!これからはスマホ対応もバッチリ頑張りますから!安心してください!」
「あっ、いやいや。。。そんな、気にしないでください。」
「それで、私も分かったんですよ。。。今まで、実績ゼロで信用もない私が、どれだけカントクさんを不安にさせていたか。そのせいで、長いこと心配をおかけしてしまいました。でも、私にもカントクさんに言おう言おうと思って、ずっと言いそびれていた事があるんです。それをお話ししてもいいですか?」
「えっ?トベさんが言いそびれてた事ってなんですか?」
「はい。実はカントクさんと初めてお会いした頃は、私も起業コンサルを始めたばかりで、まだまだWeb屋として独立する可能性もあると思っていたんですが。。。その後のコンサルで自己分析が進みまして、自分はWeb屋にはなりたい訳じゃないということが分かってきたんです。」
「おっ、そうだったんですか?じゃあ何をやることになったんですか?」
「私は、ミツバチ手法で起業しようと思います。実はもう、有料モニターが3人もついてるんですよ」
「そうですか、それは良かった!頑張ってください」
「ありがとうございます。で、私もこれからはミツバチ手法に注力しようと思ってまして。それで閃いたんですが、こないだカントクさんから頂いた企業サイトの4ヶ月案件あるじゃないですか。」
「ええ、トベさんにお願いしてまだ始まってないやつですね。」
「はい、それなんですけど。。。もし私がそれを辞退すれば、カントクさんも心安らかでいられるって、今日はじめて気づいたんです。カントクさん、他にもっと信頼できるクリエイターさんが沢山いるって言ってましたよね。だったら、実績のない私がやるより、その人たちにお譲りしたほうが上手くいくのではないかと」
「ああ、分かりました。全然問題なしです。じゃあそうしましょう。笑」
やったーーーー!!思った通りの展開になったーーーー!!
一件落着〜!!!!(゚∀゚)
憂鬱しかなかった4ヶ月案件、まさかの無傷であっさり辞退できちゃいました。ひゃっほーーー!
いやあ、私にしてみると、下手すると12ヶ月奴隷コースになる可能性もあった話から解放されたわけで、言い尽くせない安堵に包まれてしばらく放心状態でした。。。
もっというと、カントクさんも私が辞退したことを喜んでくれたのも良かった。それに、私よりもっと高く払ってもらえるというクリエイターさんだって、イイ仕事が来てハッピーでしょう。つまり私も含めて全員ハッピーになったわけです。いやあ、こんな予想外のアプローチで嘘みたいに上手くいくこともあるんだなあ。
*****
まあ、こんなことは、別に騒ぐほどのことじゃないですけどね。
でも人生には、「これを乗り越えないと次に進めない」という関門がいくつかあるような気がしていて、今回のカントクさんとの出会いは、まさにそのひとつだったような気がするのでした。そういう意味で、私もカントクさんを必要としていたのでしょうね。。。
繰り返し現れる奴隷パターンに、初めて違うやり方で対応してみたわけですが、もろもろ結果オーライとなって本当に良かったと思います。
(おわり)
コメント
すごい!
いやいや、その、うどんをすすっていたときの「一瞬のひらめき」なんですよ。
たぶんですが、それこそが、自我ではなく聖霊を選んだ瞬間なのでは?
もちろん、形態だけを見ると、いろいろあれだとは思いますが、大切なのは内容のレベルですから。
で、とどのつまりはそれ、「自分は本当はどうしたいのか」なんです。
これは個人的に思っていることですが、日本人の場合はどうやらそこにポイントがあるみたいなんです。
これが、例えばアメリカ人だと、日本人とは逆に我が強すぎるので、奇跡講座で書かれているとおりの展開が必要なのかもですが、日本人の場合は、おしなべて自分を抑圧しすぎているので、逆に、エゴイスティックなぐらいに自分を前面に出すと、物事が急にうまく行き始めるみたいです。
まあしかし、これはテキストで言う「犠牲の必要はない」ということなのかもですが。
私もそうでしたが、どこかで、自分が何者であるか、あるいは、本当はどうしたいのか、を軸に据え直す必要が出てくるみたいです。
ですがそのためには、とことん行き詰まってみないと、どうやら、本気でやろうとしないようなんですね。
かくいう私も、内的プロセスに関しては盛大に体験してきましたが、もしかするとですが、金銭的にはまだこれから追い詰められる段階なのかもですが。
ああ、ちょっと表現が違っていたかも。
とことん行き詰まってみないと本気にならない、というよりは、自我に基づいて生きる生き方がとことんうまくいかなかった、その果てに、なんかこう、自我への同一化が、ふと「緩む」ときがあるみたいです。
それが、tobbeさんの場合は、何もかもうまくいかなくなり、悄然としてうどんをすすっていたときだった、と。
そのときの「切り替わり」は、もはや、自力でするものではないので、「本気になる」という言い方は適切ではなかったなあと思い、追記しました。
いつもやたらなんかすみません。。。
記事には書きませんでしたが。。。
遡ること3ヶ月前、カントクさんと初対面でZoomしている最中に「ガシャーン!!」と派手な音がして、長年ずっと部屋に立てかけてあった大きな脚立が何もしてないのに勝手に倒れる、という怪奇現象がありました。あちゃー、これは警告だなと。
結果的に、カントクさん絡みの案件は全て面倒な方向に行ったので直感は正しかったと思います。ただその一方で、カントクさんとの出会いが悪いものだったとは思ってません。むしろ、私がずっと乗り越えたいと望んでいた事ついて、適切な課題を与えてくれた恩人だと思います。
実際、カントクさんから離れた直後に思ってもいなかったような進展があり、いまでは私のビジネスは少しずつですが、回り始めるようになってきています。
記事の出だしが剣呑だったせいで、皆様にはいろいろご心配をおかけしてスミマセンでした。全て済んだ話ですのでご安心ください✨
出来事のパタン。ということをグルジェフが言っていたのを、今思い出しました。人間はかならず、何回も同じようなパタンにはまってくりかえすことがある、ということで、本当にそこから学ぶということが与えられているのでしょうね。と書きながら、ああそうか自分もそういう中にいるはずなのだなと思えてきた。輪廻ってこういうことなのですね。ご存じないかとは思いますが、涼宮ハルヒの憂鬱というアニメがあって、8週間毎回同じ内容を輪廻するという前代未聞の放送があり、最後に主人公が、こんなことじゃいかん、と気が付くまで同じ話が繰り返されてました。僕も何かに気づこう。と思います。たしかに僕も輪廻している。
人それぞれ繰り返しのパターンは違うでしょうけど、何かしらあるのではないかと思います。私はとにかく安請け合いをしてタダ同然で働く羽目になるという事を繰り返してたので、心のどこかにそういう奴隷的な扱いを望む部分があったということなんでしょう。以前は安く奉仕して相手が喜ぶならイイコトだと勘違いしてましたが、最近やっとそれがアホらしく感じられてきて、だいぶ強気で交渉できるようになってきました。笑