草津のマザー・テレサ
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今回の草津訪問で忘れられなかった事がもうひとつ。それは、ティーダさん達に「草津にマザー・テレサみたいな人がいたんだってよ」と教えて貰って興味を持ち、「リーかあさま記念館」を訪れたことです。教会の隣にあるとても小さな記念館で、静かな林の中にこぢんまりと建っていて、温泉客で賑わう湯畑周辺とはまったく対照的でした。
リーかあさまは、100年ほど前に、私財をなげうって日本のハンセン病患者の救済につとめたイギリス人女性です。名前はコンウォール・リーといい、50代のとき宣教師として草津を訪れた人で、多くのハンセン病患者に寄り添い「リーかあさま」と呼ばれて人々に慕われたといいます。
当時の草津では、当時は不治の病としてハンセン病患者たちが湯治のために集落を形成していたそうです。しかし、ハンセン病に対する根強い差別と偏見のために、自暴自棄になって飲酒に溺れたり自殺する人が後を絶たない悲惨な状況でした。イギリスの裕福な家庭に育ったリーかあさまはこの惨状を見て、次々に患者のためのホームや病院や教会などを建てただけでなく、ひとりひとりに心から寄り添い、祝福し、それまで荒んでいたハンセン病患者の集落をいつしか「よろこびの地」に変革していきました。
印象的だったエピソードをひとつ紹介します。それまで、ハンセン病で亡くなった方の遺体は、谷間に投げ捨てられていたといいます。しかしリーかあさまは、誰かが亡くなると、自らタオルを持って衣類を脱がすことなく丁寧に遺体を拭い清め、一人ひとりの棺を花で美しく飾って手厚く葬りました。(そのように大切に埋葬された人は300人にのぼったそうです)
なぜそこまでするのか?リーかあさまは静かに微笑みながらこう言ったそうです:
「私はキリストの時代に居りませんでしたので、キリストをお拭い申し上げる事は出来ませんでした。ですから皆さんの体をキリストと思って拭わせていただきます」
これを読んで思いました。。。このひとマザー・テレサと同じ事を言ってる!100年も前に!
リーかあさまも、マザー・テレサも、明らかに聖霊のものの見方で世界を見ていた人なんだなあと思いました。
ACIMに出会う前の私だったら、たぶん「全ての人をキリストとして見るなんて、信仰ってすごいな!私には無理だけどw」程度にしか思わなかったでしょう。でも、いまは自分の学習の行き先が「すべての他者をキリストとして見ること」にあると頭では理解しているので、そのお手本を示した人が日本に居たと知ったことは格別の感慨深さがありました。
もちろん、それはACIM学習者がリーかあさまと同じような奉仕をすべきだという意味ではなく。。。大事なのは行動そのものではなく、その源となる想念だと思うので。(リーかあさまは聖霊の見方で世界を見ていたから、ごく自然に喜びをもって奉仕したのだろうし、心が癒されていない私が行いだけを真似たとしても絶対上手く行かない気がする)
リーかあさまの話は、世間にはほとんど知られていません。この小さな記念館も、地元の教会の方々の手によって細々と運営されているのが現状です。ですが、館内にはリーかあさまにまつわる貴重な資料が展示されていたり、様々な書籍の販売もあります。今後は草津を訪れるたびに立ち寄って、少しずつ本を買い揃えていこうかな、と思っています。(今回は「リーかあさまのはなし」という絵本を買いました。子供向けだけど秀逸です)
リーかあさま記念館
http://leprosy.jp/japan/sanatoriums/rc04/
出典: リーかあさまのはなし (ポプラ社)
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